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立山自然保護センターブログ

花のアルペンルート

今年は雪解けが遅くまだ残雪がありますが、室堂平でも多くの花が

見られるようになってきました。

雪にトンボ?と以外かもしれませんが、残雪で休む姿をよく見かけます。

 

 

ツマトリソウ 花の先がピンク色に彩られることが和名の由来との説もある。

 

ハクサンボウフウ セリの仲間で美味しいのかクマがよく根っこを食べる。

 

ハクサンチドリ

テガタチドリ ハクサンチドリと花の形が違うのがわかりますか?

 

ミヤマキンバイ

シナノキンバイ ミヤマキンバイとは大きさや葉の形が違います。

 

マイズルソウ ハイマツなどの木のかげでひっそりと咲いています。

 

ウサギギク ウサギの耳に似た葉が特徴です。

 

イワオトギリ 兄に切り殺された弟の血で葉が赤くなると言う昔ばなしから

和名がきているそうです。

 

ゴゼンタチバナ チョット変わった植物で、一般に葉が5枚以上出ないと

花が咲かないとされています。白い花のように見えるのは

虫を寄せる為のニセモノ(総苞片)でホンモノの花は中心

部分に小さな花が集まっています。

 

ミヤマダイモンジソウ 名の由来は花を見てもらえばわかると思います。

 

場所によっては雪解けの早い遅いがあり開花にはバラツキがありますが

少しずつお花畑が広がってきています。

 

 

 

 

 

ライチョウの子育て奮闘中

立山のいたるところで花々が咲き、美女平周辺では、オオルリや

コマドリなどの夏鳥の声が、弥陀ヶ原あたりではウグイスやカッコウ

などのさえずりが聞こえます。

室堂平では、メボソムシクイ・ウソなどの声が聞かれます。この2種は

鳴き声に特徴があるのでわかりやすく、メボソムシクイはさえずりが

個人的な「聞きなし」ですが、「カネクレ カネクレ」と聞こえます。

ウソですが、「フゥー フゥー」と口笛のような声がします。口笛の

ようなのに名前がウソ? 昔は、口笛のことを「嘯く(うそぶく)」

と言い、そこからが名前の由来になったようです。

ウソは以外と高めの枝先などに留まるので、鳴き声が聞こえたら姿を探してみてください。

 

立山の野鳥の中でも、一番人気の雷鳥は、7月に入るまで見られたオスの姿はあまり見られ

なくなり今は子連れのお母さんの姿が見られます。

ヒナがどこにいるかわかりますか? 2羽います。

変な塊があるとヒナは覗き込んでいるのでしょうか?

お母さんは「砂浴び」の最中でした。

お母さんがジッとしていますがお腹の下には子供たちがいます。

お母さんに暖めてもらったヒナは、またエサを探しに出かけます。

 

子連れのライチョウは、このような事を繰り返しています。

室堂平に来られる「みなさま」にお願いです。

ヒナは定期的にお母さんに暖めてもらわないと、低体温で死亡する事も

ありますが、沢山の人が取り囲みヒナがお母さんのとろまでいけない場面

が毎年見られます。お母さんはヒナを様子を見ながら安全な場所に誘導し

ながら移動しているので、行先を塞がないようにして下さい。また、

常に、鳴き声で親子のコミュニケーションをとっているので大勢の人か

騒ぐとコミュニケーションがとれなく動けなくなっていることもるので、

静かに観察して下さい・・・静かに見ていると「ピヨピヨ」と親子の会話が

聞こえて可愛いですよ。雨にも風にも負けずに頑張っている親子の成長を

あたたかく見守って下さい。

最近の室堂平は

7月に入り、室堂平はまだ肌寒い日もありますが「生きもの」

たちの姿も多く見れるようになってきました。

 

7月1日に夏山開きした雄山山頂は、今朝、かさ雲がかかっていました。気温や湿度が

違う2つの空気の流れの境目が、山頂近くにできているので帽子のような雲ができます。

この雲が見られると、近くに前線や低気圧があるので今日は天気が良くないかもです。

室堂平の遊歩道は、中央部に雪が残りますが大分の石畳を歩けます。ただし

一の越方面はまだ雪が残るので、注意が必要です。※登山に関しては県警山岳

警備隊にお問い合わせ下さい。

みくりが池も雪解けが進み、コバルトブルーの湖面に雄山が映るように

なってきました。

 

 

チングルマも多く見られるようになってきました。

今日はゲストにイワヒバリさんが来てくれました。

 

 

コイワカガミ

場所によって花の色の濃淡が違う気がします。

 

ミヤマダイコンソウ

 

シナノキンバイももう少しで咲きそうです。

 

ミツバオウレン ハイマツの下でひっそりと咲いていることが多いです

 

クロユリ

クロユリも伝説のように、まさに「くさばのかげ」でひっそりと咲いています。

 

ハクサンイチゲ

ハクサンイチゲは、お花畑になることが多いので立山連峰をバックに

すると絵になります。

 

ツガザクラ

 

アオノツガザクラ

二つのツガザクラですが、花の咲き方が変わっていてツボミを天に

向かって伸ばし、花が咲く頃には下を向きます。・・・今回のゲスト

は逆さになったアリさんです。

 

この後も、沢山の花たちが咲いてくれますが、絶対に歩道を外れて

写真などを撮らないで下さい。また、写真を撮る前に足元を確認して

植物を傷つけていないか確認して高山植物を楽しんでください。

 

 

今年も、彼らが上山してくれました。

アキアカネです。

彼らは、暑い夏を立山で過ごし秋に里へと下山していきます。

もうしあけございませんが、今回撮影した動植物の撮影場所は

自然保護の為に、お問い合わせにお答えしかねます。

 

 

 

嫌いな人はごめんなさい。

私的ですいませんが、我が家の周りは田んぼが多く夜になると

カエルの合唱が始まります。今の時期はカエルが産卵などで見え

やすいので、通勤途中に探してみました。

田んぼで鳴いているアマガエルです。一斉に鳴いて突然止まり、また一斉に

を繰り返しています。

一緒にいるのがキンモンガです。

トノサマガエルの姿も見えますが、富山県ではレットデータブックとやま2012では

準絶滅危惧に分類され地域によっては、「あまり見かけない」との声も聞かれます。

 

立山ふもと山麓で探してみると居ました。

モリアオガエルです。このカエルの産卵は変わっていて水の中ではなく

水辺の上に枝がある木などに卵を産み付けます。

木に卵塊を産み付け足でかき混ぜて泡状にします。真ん中の大きなカエルが

メスです。カエルの世界ではメスが大きいものが多いようです。

産卵に集まるカエルにも危険が沢山あります。

シマヘビがモリアオガエルを狙っています。少しでも動いたら襲われるので

まさに「ヘビに睨まれたカエル」です。このような危険の中で生まれたオタ

マジャクシも生存率は全体の10%以下と言われています。

 

立山の高山でもカエルはちゃんといます。

アズマヒキガエルです。別名「ガマガエル」と呼ばれています。このカエルは

カエルなのに、ジャンプも得意でなく、水かきが無いので泳ぎも苦手で、ノシノシ

と歩いていることが多いのですが、図鑑によっては日本一ハンサムなカエルとして

紹介されることもありました。

富山県では海岸から立山の室堂平周辺まで生息しています。

 

弥陀ヶ原では、卵塊とオタマジャクシ、運がよければ産卵が見られます。

弥陀ヶ原ホテルに近い木道際で卵塊が確認できますが、絶対に木道から外れない

様にして観察してください。

昨年、カエルがいるのならもしかして「アイツ」がいるかな?と探してみたところ

いました。

ヤマカカシという毒蛇です。カエルはアマガエルでも体に着いた雑菌などを

取るために弱い毒液を出しており、カエルを触った後に手を洗わずに目など

を触ると痛くなる事があるのですが、アズマヒキガエルは毒性は強いのですが

ヤマカカシはアズマヒキガエルをよく食べます。

日本にいる毒蛇は、カエルの持っている毒素をためて自分の毒にしている

事がわかっており、ヤマカカシはアズマヒキガエルを好んでいるようです。

室堂平では、ヤマカカシの目撃情報はないのですが?もし見つけたら

自然保護センターまでご連絡ください。

平地から高山までカエルでも、色んな生き物とつながって生きていることが

実感できました。

爬虫類がキライな人はごめんなさい。

 

ごめんなさいついでに、ヘビはよく舌をチョロチョロだしていますが、

口を開けているのでしょうが?

上の写真を見てもらうと、口に舌用のすきまがチャンとあります。

自然には無駄がありません。

 

 

立山の地獄

昨晩、山形県沖を中心とした地震が発生し被害に遭われた方々には

心よりお見舞い申し上げます。

立山地区にも弥陀ヶ原火山が存在し、気象庁も5月から24時間体制

で監視体制を始めており、我々も地震による火山活動の変動などにも

注視しております。

室堂平で、火山活動が見られる地獄谷は昔から字のごとく「地獄」に

たとえられ、平安時代の仏教説話集「今昔物語集」では「日本国の人、

罪を造りて多く此の立山の地獄に堕つと伝へり」との文章が残って

います。

館内展示 大仙坊本A

立山曼荼羅でも、地獄が大きく描かれており立山地獄のイメージが

強かったのが伺えます。

人が死んだ後は、天国か地獄に行くと言う話がおおいのですが、仏教の

世界では死後に「六道輪廻」

天の世界

人間の世界

阿修羅の世界(天界との闘いで苦しむ)

餓鬼の世界(飢えに苦しむ)

畜生の世界(動物となって苦しむ)

地獄の世界

この6つの世界に生まれ変わるとされ、インドなどの曼荼羅図ではよく

描かれますが、立山曼荼羅でも描かれています。

立山の地獄、地獄谷

高台から見るだけでもゴー!という水蒸気の噴き出す音が聞こえて

きて、まさに地獄の風景に見えます。

地獄を見下ろす高台が「エンマ台」と呼ばれる場所になります。

立山曼荼羅でも、左上に死者を裁く姿が描かれています。※立山博物館25周年

立山×地獄展資料では、かつて地獄谷に閻魔堂があった可能性もあるが現在は

不明

 

昔話では、死後に閻魔大王に裁きを受ける話が出てきますが、実際は十人の

大王に裁かれ、閻魔大王は5番目の王となります。裁きを受ける日も決まって

いて、最初は死んだ日、初七日と続き四七日、一周忌、三周忌まで続きます

お気付きでしょうか?これは、生きている人が故人を供養する日と一緒です。

裁かれる内容も2回目以降は、故人をキチンと供養していると罪が軽くなって

いくそうです。

 

まだまだ、立山宗教や閻魔さまの話はあるのですが、また次回があればお話し

したいと思います。文書ばかりで長くなりすいません。

話の内容については、立山信仰の歴史 富山県立山センター監修

立山X地獄企画展解説 立山博物館 発行

立山曼荼羅企画展  立山博物館 発行

を参考にさせて頂きました。