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立山自然保護センターブログ

室堂の謎 秋のライチョウの居場所はどこ?

最近、よく受付窓口にて、

「秋はライチョウを見つけにくいんですか?」

とお客さんに聞かれます。実際、9月半ば頃から

「ライチョウ目撃情報」が1/3程度まで減少して

います。実際、私個人も、9月に入ってからの朝

の散策時において、“一羽も見かけない”という日

が何日もあります。

元々、6月末からナワバリを解消し“自由行動”

をしているオス(又はオスグループ)は、室堂平

一帯ではほとんど見かけることはありません。

(毎朝、『グァーグァー』という鳴き声が聞こえ

るので、オス達もご近所で暮らしているみたいな

のですが・・・。)

問題は、あれほど登山道近くなどで育雛していた

母子グループがどこに行ったか?ということです。

「富山雷鳥研究会」の調査によると、

「雛が幼鳥に成長すると、母子たちは平坦地から、

餌や身を隠すものが多い谷筋に移動する。」

とのことで、どうやら、人間が見つけることがで

きないだけで、オス達同様に、近くに棲んでいる

ようです。実際、9月の「富山雷鳥研究会」の調

査にて、これまで数週間ほど目撃報告がなかった

「血の池」上部のハイマツ下に母子グループが居た

との報告事例もあり、やはり『見つけることができ

なかっただけなのか・・。』と納得するに至ってい

ます。

最近のお客様からの目撃情報(個体数報告)などか

ら、現在、複数の母子グループが合併して小集団化

が進んでいることが推測されます。

以下、ここ3週間の目撃状況を写真でピックアップ

しましたのでご覧ください。

※3枚目以降は、お客様から「雷鳥見守りネット」

に投稿していただいた写真を使用しています。

R7,10,6室堂平園地内 若鳥(2家族:5羽)

R7,10,6室堂平園地内 若鳥(2家族:5羽)

R7,10,6ターミナル前広場上部 メス1、若鳥2(1家族:3羽)

R7,10,1ホテル立山前園地 メス1、若鳥3(1家族:4羽)

R7,9,26ミドリガ池園地 メス1,若鳥2(1家族:3羽)

R7,9,25血の池 メス1、若鳥2(1家族:3羽)

R7,9,21 一ノ越祓堂手前 メス1、若鳥2(1家族:3羽)

R7,9,21園地広場 メス1、若鳥3(1家族:4羽)

 

ライチョウ(秋羽)の性別判定について

ここ数日、悪天候が続いていながらも、クマの目撃

情報が頻繁に入り、毎日のようにクマ警戒監視出動

をしていました。

(ブログ更新できなくてすみませんでした・・。)

昨日から“シルバーウィーク”に突入しましたが、

今日の室堂平は、すっきりしないお天気模様となっ

ています。ちょうど今、室内事務の時間を作ること

ができたので、最近、困っている“ライチョウの秋

羽”問題を整理することとしました。

ライチョウは、冬羽、夏羽、秋羽と年に三回、換羽

するのですが、9月頃からの秋羽の時期(オス:7月

中旬~、メス8月下旬~)になると、オスとメスの

区別が専門家でも難しく、離れた距離での観察では、

もはや“判別不能のカオス状態”となっています。ま

た、今まで小さかった『雛鳥』たちも、9月に入る

と、親鳥よりやや小さい『幼鳥』に成長してくるの

で、益々、混乱してきています。

秋の今頃のライチョウ観察ポイントは、

①繁殖期に顕著であったオスの肉冠(目の上の赤い

突起)は目立たなくなっているので、判別ポイント

としない。

②メスの夏羽(黄褐色の“キジ模様”)の名残りが、

腹に残っているので、腹側面を重点的に観察する。

③若鳥は、9月頃までは親鳥より“やや小さい”大き

さですので、親鳥などとの大きさの比較でわかりま

す。(8月頃までは、背中の模様などでわかります

が、慣れていないと難しいです。)なお、10月中

旬頃からは、親鳥と全く大きさが同じになりますの

で、もはや、“雰囲気”?で判断しています。

当センター窓口で、お客様に提示しています秋羽性別判別資料です。

以下、当センターの『ライチョウ見守りネット』に

投稿していただいたお客様からの過去の写真を活用

させていただいて、性別対比いたしますので、参考

にしてください。

メス①(R7,9,4)まだ、夏羽の“まだら模様”が多く残った個体。

メス②(R7,9,9)秋羽に換羽し終わったメス。※お腹に“まだら模様(キジ模様)”が残っています!

メス③(R7,9,15)この個体も、しっかりと腹側面にまだら模様が残っています。

メス④(R6,9,23)9月下旬ですが、この個体には胸と腹側面に夏羽の模様が残っています。

オス⑤(R7,9,18)黒褐色の秋羽に換羽したオス

オス⑥(R6,9,15)風切り羽の先だけが白く目立ちます。

オス⑦(R6,9,21)赤い肉冠が目立ちませんが、この個体もオスです。

オス⑧(R6,9,23)オスです。肉冠も目立ちません。

幼鳥⑨(R7,8,10)8月中旬でしたら、まだ、大きさや模様で親鳥と判別しやすい頃の写真です。

幼鳥⑩(R7,9,18)9月中旬になりますと、幼鳥から若鳥に近くなってきます。

幼鳥⑪(R5,9,23)幼鳥の頃も、意外と肉冠がはっきりとしています。※背中の黒羽の規則的な点在が幼鳥の特徴か?

若鳥⑫(R2,10,15)家族グループが合流し集団化した中の若鳥たち(幼鳥から若鳥に成長した状況。一部、親鳥が、混じっています!)

 

 

 

立山室堂の野鳥たち

今朝の散歩では、ライチョウの親子のほか、ホシガラ

ス、ウソ、カヤクグリ、イワヒバリなどを観察するこ

とができました。春から写真を撮っていた鳥たちも含

めて、室堂平の野鳥たちを紹介します。

ライチョウ(母鳥)R7,8,16

イワイチョウの湿地帯にてエサをついばんでいました。R7,8,16

雛鳥もすっかり幼鳥の大きさに成長しています。R7,8,16

よ~く見ると、肉冠(赤いアイライン)がはっきりとしてきています!R7,8,16

ホシガラス!なんかカッコイイですね。R7,8,16

仁王立ちで、こっちを見ていました。R7,8,16

ホシガラスの後頭部アップ R7,8,16

ウソ。草の実をたくさん食べていました。R7,8,16

イワヒバリ。春の写真です。R7,5,24

カヤクグリ。R7,6,2 ※間違っていたらごめんなさい。

ミソサザイ。室堂平では珍しい鳥です。 ※以前のブログでカヤクグリと間違っていました。すみません。R7,8,2

ライチョウ雛の天敵のチョウゲンボウ。2匹(オスとメス?)が室堂平の上空を飛んでいました。R7,8,15

R7,8,14ライチョウ情報

今朝は、曇空ながら、久しぶりに室堂山に登ってきました。

お目当てのオコジョ君には出会えませんでしたが、登山道入り口で

ライチョウの親子(母1、子1)に出会うことができました。

7月上旬に孵化した個体と想定されますが、雛鳥から幼鳥へと約1か月

でここまで大きく成長できたのか・・・。と“感無量”でありました。

ただ、7月当初は近辺での親子が4~6匹の雛を連れ歩いていたことを

考えれば、1か月でもう、数匹の子を失ったのか・・・。と自然の厳し

さを思い知らされもしました。

お天気が悪いと肌寒い室堂平では、チングルマの花も大半が終わり、

イワイチョウの葉も黄色に変わりつつあります。また、ハクサントリ

カブトやオヤマリンドウなどの“秋の花”も咲き始めています。

 

母鳥も夏羽(茶褐色)から秋羽(暗褐色)に変わりつつあります。

“強くてやさしい”母鳥のツブラな瞳。

母鳥が守っている最後の子と・・。

推定で孵化後6週間程度の幼鳥。(雛鳥と呼ぶには大きすぎます!)

幼鳥の大きさも親鳥の70%ぐらいに成長しています!

大きさだけでなく羽毛の色も、母親に似てきています。

今、室堂平で目立ってきている秋の花「ハクサントリカブト」

美しい花には・・・・。

オヤマリンドウもたくさん咲いています。

イワイチョウの葉っぱも黄色くなってきました。

自然解説ツアーの実施状況

山の日(8月11日)関連の3連休の二日目になりましたが、立山室堂は、雨&霧の

天候となりました。

午前9時現在の気温は13℃と肌寒いぐらいでしたが、たくさんのお客様の

ご要望にて、本日も予定どおり、自然解説ツアーを実施させていただきました。

ただし、雨具(傘のみは不可)などの装備がある方のみの参加とさせていただき、

装備の無いお客様には、自然保護センター館内での解説ツアー(40分程度)にて

代替実施させていただきました。

(なお、強風及び雷など、安全が確保できない気象時は、屋外での解説ツアーは

中止とさせていただきますので、あらかじめご了承願います。)

8月10日(日)の室堂ターミナル前広場の様子。

外に出られない方などのを対象とした、自然保護センター館内自然解説ツアーの様子。

みなさん、立山の魅力を楽しく聴き入ってくださいました。

館内自然解説の様子