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立山自然保護センターブログ

ライチョウ(秋羽)の性別判定について

ここ数日、悪天候が続いていながらも、クマの目撃

情報が頻繁に入り、毎日のようにクマ警戒監視出動

をしていました。

(ブログ更新できなくてすみませんでした・・。)

昨日から“シルバーウィーク”に突入しましたが、

今日の室堂平は、すっきりしないお天気模様となっ

ています。ちょうど今、室内事務の時間を作ること

ができたので、最近、困っている“ライチョウの秋

羽”問題を整理することとしました。

ライチョウは、冬羽、夏羽、秋羽と年に三回、換羽

するのですが、9月頃からの秋羽の時期(オス:7月

中旬~、メス8月下旬~)になると、オスとメスの

区別が専門家でも難しく、離れた距離での観察では、

もはや“判別不能のカオス状態”となっています。ま

た、今まで小さかった『雛鳥』たちも、9月に入る

と、親鳥よりやや小さい『幼鳥』に成長してくるの

で、益々、混乱してきています。

秋の今頃のライチョウ観察ポイントは、

①繁殖期に顕著であったオスの肉冠(目の上の赤い

突起)は目立たなくなっているので、判別ポイント

としない。

②メスの夏羽(黄褐色の“キジ模様”)の名残りが、

腹に残っているので、腹側面を重点的に観察する。

③若鳥は、9月頃までは親鳥より“やや小さい”大き

さですので、親鳥などとの大きさの比較でわかりま

す。(8月頃までは、背中の模様などでわかります

が、慣れていないと難しいです。)なお、10月中

旬頃からは、親鳥と全く大きさが同じになりますの

で、もはや、“雰囲気”?で判断しています。

当センター窓口で、お客様に提示しています秋羽性別判別資料です。

以下、当センターの『ライチョウ見守りネット』に

投稿していただいたお客様からの過去の写真を活用

させていただいて、性別対比いたしますので、参考

にしてください。

メス①(R7,9,4)まだ、夏羽の“まだら模様”が多く残った個体。

メス②(R7,9,9)秋羽に換羽し終わったメス。※お腹に“まだら模様(キジ模様)”が残っています!

メス③(R7,9,15)この個体も、しっかりと腹側面にまだら模様が残っています。

メス④(R6,9,23)9月下旬ですが、この個体には胸と腹側面に夏羽の模様が残っています。

オス⑤(R7,9,18)黒褐色の秋羽に換羽したオス

オス⑥(R6,9,15)風切り羽の先だけが白く目立ちます。

オス⑦(R6,9,21)赤い肉冠が目立ちませんが、この個体もオスです。

オス⑧(R6,9,23)オスです。肉冠も目立ちません。

幼鳥⑨(R7,8,10)8月中旬でしたら、まだ、大きさや模様で親鳥と判別しやすい頃の写真です。

幼鳥⑩(R7,9,18)9月中旬になりますと、幼鳥から若鳥に近くなってきます。

幼鳥⑪(R5,9,23)幼鳥の頃も、意外と肉冠がはっきりとしています。※背中の黒羽の規則的な点在が幼鳥の特徴か?

若鳥⑫(R2,10,15)家族グループが合流し集団化した中の若鳥たち(幼鳥から若鳥に成長した状況。一部、親鳥が、混じっています!)