立山室堂のクマたち
7月中旬頃から立山周辺ではクマの目撃情報がたくさん寄せられています。
もちろん、中部山岳国立公園内であって、クマ等を保護するための鳥獣保
護区(クマのコア生息地)内での目撃であるので“当たり前”といったら
“当たり前”なことなのですが・・・。
問題は、人とクマとの接触頻度と接近距離にあります。
立山室堂での目撃情報が、例年10件ほどなのですが、令和7年度は既に
30件以上に及び、しかも、登山道上にまで出没し、人との距離が数m
(ひどい場合は、1mすぐ隣を通り過ぎていったとか!)にまでニアミスし
ている状態が報告されています。
ただ、立山室堂のクマたちは、人間に興味を示さなく、数十人の登山者が
熊鈴を鳴らしながら歩いていても、平然と人の列に割り込んで登山道を横断
していくこともあったようです。
(8月14日の全国報道された“ミクリガ池遊泳熊”も数百人もの観光客等が集
まっている広場の脇をすり抜けて通っていったそうです。)
私個人としましても、室堂近辺で何回か出没熊を観察しましたが、
『人を全く恐れない。自分が採餌行動に夢中になっていれば、その行先
方向に何百人の人間がいても全く気にしないで突き進んでくる。』
という行動パターンが共通しているように感じらています。
そのため、現在は、県(自然保護センター)、山岳警備隊、環境省、立山
町が協力して、登山道や散策道に近づいてくるクマに対し、目撃情報があれ
ば現地に急行し、人とクマが“接触”しないように、人に対しての『臨時的な
通行規制や避難誘導』や人に近づいてくるクマの『監視』を行っています。
また、クマの目撃集中する雷鳥平と室堂及び一の越を連絡する登山道の
一時閉鎖を行っています。
(当センターHP 9月7日「お知らせ」のとおりです。)
立山周辺のクマたちは、例年でしたら、9月末頃には越冬前の貴重な餌場
となる山地・丘陵帯のドングリ林に移動していきます。今しばらく、立山
室堂にいらっしゃる観光客・登山者の皆様には、
①クマに人間の食べ物を覚えさせない(お菓子包装紙や生ごみを捨てない、
テント場での食料のにおい漏れ対策や保管管理の徹底など)
②クマ出没ルートに近づかない、夜間、朝夕での野外活動の自粛。
③室堂では、熊鈴やラジオではクマは逃げてくれないので、人間が先に
クマを見つけて、距離を詰めないで立ち止まるか、引き返せるよう、
『ここでは、必ず、熊が出没する!』と警戒し、周辺の気配に気をつけ
ながら歩くこと。
など、人とクマの接触をさけるよう、注意をお願いいたします。

A R7,8,15(ミドリガ池近くの山腹)推定ですが、前日にミクリガ池で泳いだクマと同一か?

B R7,8,25(室堂山登山道入り口) 室堂ターミナル展望台などから目撃され、地元テレビ等で放送されたクマ

B R7,8,25(室堂山登山道入り口) 草付地に座り、しきりに草本類の種穂を採餌していた。

B R7,8,25(室堂山登山道入り口) 結構、体格の良い成獣でした。

B R7,8,25(室堂山登山道入り口) 人を気にせず常に採餌しながら移動していました。

B R7,8,25(室堂山登山道入り口) クマの進行方向を予測し、登山道を臨時閉鎖して人とクマの接触を避けました。

C R7,8,30(血の池下部の山腹斜面) このクマも草本類の種穂をしきりに採餌しながら移動していました。

D R7,9,7(一の越への途中、祓堂) 人を全く気にしない、体格の良いいクマでした。

D R7,9,7(一の越への途中、祓堂)このクマもしきりに草本類の種穂を採餌していました。

D R7,9,7(一の越への途中、祓堂) 谷を挟んで約150mの位置

D R7,9,7(一の越への途中、祓堂) 雄山の登山者約100名が一時通行規制で避難している横で採餌していました。

E R7,9,7(祓堂の浄土沢側)上記の成獣とは別の若いクマ