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立山自然保護センターブログ

立山室堂のクマは何を食べているか?

昨日、9月15日(日)午後4時20分過ぎ、室堂平に

クマが出没し、ミドリガ池横の散策道などが1時間

ほど通行規制されました。

今回のクマは成獣1頭で、天狗平方面から室堂平に

上ってきたものでして、何よりも、これまでも

例のない“室堂ターミナル前近く”での出没であり、

“衝撃的”なものでした。

クマは、人を警戒することもなく、室堂園地を

早や走りで横切り、慰霊塔横の斜面からミクリガ

池上部の谷筋に下りていきました。

(人と接触することがなく、本当に良かったです。

みなさんも、クマを興奮させることなく、距離

を取って冷静に対処してください。)

その後は、谷筋を1時間ほどかけて、ゆっくりと

採餌しながら、対岸のミドリガ池の斜面を登って、

浄土沢方面に移動していきました。

この1時間ほど、望遠レンズでクマの行動を観察し

ていたのですが、クマはしきりに、草むらに口先

を突っ込み、草穂から草の実をしごき採って、

“ムシャムシャ”と音をたてて食べていました。

この時期の高山帯のクマの採餌対象は、ベニバナ

イチゴ、クロウスゴ、クロマメノキなどの樹の実

であるとされ、実際、室堂周辺でも“ソコソコ”

の量でしたら、熟した液果を見かけることがあり

ましたが、今回のクマ(8月からの大半のクマも

!)は、草(推定で、イワノガリヤスやヒロハコ

メススキなど)の穂状の実を食べていました。

9月の後半からは、脂肪分の高い、効率よく栄養

を摂取できるミズナラやコナラなどのどんぐりを

食べに山地帯に下りていくとされていますが、

室堂平の今年のクマたちは、どうするのでしょう

か?

以下は、R7,9,15夕方のクマの観察写真です。

R7,9,15 PM5:00~PM6:00(ミクリガ池上部の谷筋)

草(草の実)をムシャムシャ、音を立てて食べています。

体格の良い大きなクマです。(足裏は柔らかそう!)

毛並みも良さそう!

鋭いツメもはっきりと見えました。

しきりに、草むらに口先を突っ込んで草の実を食べていました。

イネ科(イワノガリヤス?)の植物を食べている様子。

エサの無い岩場は“早歩き”のスピードで移動。

このフグリは・・・・。オスかも? しっぽは長くないです。

ハクサンボウフウとイワイチョウの草付地。ここで、何の草を食べていたのかは不明。

月の輪が見えそうで見えない写真!

夕陽を浴びた対岸のクマ。ミクリガ池上部の沢筋から斜面を登って、ミドリガ池園地散策道に達した状況。

立山室堂のクマたち

7月中旬頃から立山周辺ではクマの目撃情報がたくさん寄せられています。

もちろん、中部山岳国立公園内であって、クマ等を保護するための鳥獣保

護区(クマのコア生息地)内での目撃であるので“当たり前”といったら

“当たり前”なことなのですが・・・。

問題は、人とクマとの接触頻度と接近距離にあります。

立山室堂での目撃情報が、例年10件ほどなのですが、令和7年度は既に

30件以上に及び、しかも、登山道上にまで出没し、人との距離が数m

(ひどい場合は、1mすぐ隣を通り過ぎていったとか!)にまでニアミスし

ている状態が報告されています。

ただ、立山室堂のクマたちは、人間に興味を示さなく、数十人の登山者が

熊鈴を鳴らしながら歩いていても、平然と人の列に割り込んで登山道を横断

していくこともあったようです。

(8月14日の全国報道された“ミクリガ池遊泳熊”も数百人もの観光客等が集

まっている広場の脇をすり抜けて通っていったそうです。)

私個人としましても、室堂近辺で何回か出没熊を観察しましたが、

『人を全く恐れない。自分が採餌行動に夢中になっていれば、その行先

方向に何百人の人間がいても全く気にしないで突き進んでくる。』

という行動パターンが共通しているように感じらています。

そのため、現在は、県(自然保護センター)、山岳警備隊、環境省、立山

町が協力して、登山道や散策道に近づいてくるクマに対し、目撃情報があれ

ば現地に急行し、人とクマが“接触”しないように、人に対しての『臨時的な

通行規制や避難誘導』や人に近づいてくるクマの『監視』を行っています。

また、クマの目撃集中する雷鳥平と室堂及び一の越を連絡する登山道の

一時閉鎖を行っています。

(当センターHP 9月7日「お知らせ」のとおりです。)

立山周辺のクマたちは、例年でしたら、9月末頃には越冬前の貴重な餌場

となる山地・丘陵帯のドングリ林に移動していきます。今しばらく、立山

室堂にいらっしゃる観光客・登山者の皆様には、

①クマに人間の食べ物を覚えさせない(お菓子包装紙や生ごみを捨てない、

テント場での食料のにおい漏れ対策や保管管理の徹底など)

②クマ出没ルートに近づかない、夜間、朝夕での野外活動の自粛。

③室堂では、熊鈴やラジオではクマは逃げてくれないので、人間が先に

クマを見つけて、距離を詰めないで立ち止まるか、引き返せるよう、

『ここでは、必ず、熊が出没する!』と警戒し、周辺の気配に気をつけ

ながら歩くこと。

など、人とクマの接触をさけるよう、注意をお願いいたします。

A R7,8,15(ミドリガ池近くの山腹)推定ですが、前日にミクリガ池で泳いだクマと同一か?

B R7,8,25(室堂山登山道入り口) 室堂ターミナル展望台などから目撃され、地元テレビ等で放送されたクマ

B R7,8,25(室堂山登山道入り口) 草付地に座り、しきりに草本類の種穂を採餌していた。

B R7,8,25(室堂山登山道入り口) 結構、体格の良い成獣でした。

B R7,8,25(室堂山登山道入り口) 人を気にせず常に採餌しながら移動していました。

B R7,8,25(室堂山登山道入り口) クマの進行方向を予測し、登山道を臨時閉鎖して人とクマの接触を避けました。

C R7,8,30(血の池下部の山腹斜面) このクマも草本類の種穂をしきりに採餌しながら移動していました。

D R7,9,7(一の越への途中、祓堂)  人を全く気にしない、体格の良いいクマでした。

D R7,9,7(一の越への途中、祓堂)このクマもしきりに草本類の種穂を採餌していました。

D R7,9,7(一の越への途中、祓堂) 谷を挟んで約150mの位置

D R7,9,7(一の越への途中、祓堂) 雄山の登山者約100名が一時通行規制で避難している横で採餌していました。

E R7,9,7(祓堂の浄土沢側)上記の成獣とは別の若いクマ 

 

オコジョ、自然保護センターにご来所!

R7,8,21 立山自然保護センター3F野外通路横にて

オコジョは、立山室堂ではライチョウと並んだ

2大スターであり、熱狂的なファンを有する人気

者です。

小さくても、肉食獣であり、時にはライチョウ雛

の天敵となりますが、そのかわいらしい容姿とし

ぐさから、自然観察者や登山者を魅了しています。

ただ、令和7年4月からの4か月間で、当センター

に寄せられたオコジョ目撃情報は138件(ちなみに、

ライチョウ5,503件です。)と“激レア”な状態とな

っており、そうした希少価値が益々、オコジョファ

ンを“虜”にしているようです。

そうした中、令和7年8月21日、当センターの3F

出口の岩陰&草むらにオコジョ2匹が現れました。

ちょうど、自然解説ツアーのお客さんの目の前で

15分ほど愛きょうを振りまいた上、自然保護センタ

ーの草むらの向こうに消えていきました。

写真は以下のとおりです。

 

オコジョ!

こっちを見て警戒しています。

オコジョの前面もかわいいですね。

シッポを向けて、草むらに入っていきました。

オコジョを探しに出掛けました!

オコジョ目撃情報が、ポツポツと届くようになりました。
みくりが池温泉前の階段で見かけたとので、出掛けてみました。
オコジョを見るチャンスは、ありませんでしたが気持ちの良い朝でした。
オコジョ目撃情報を届けて頂いた方に立山自然保護センターでは、オコジョシールをお渡ししております。
どうぞ、お気軽にお立ち寄りくださいませ。

今日は、霧の中、狐の足跡が!

ゴールデンウィーク明けの、静かな朝を迎えました。自然保護センターへ向かう狐らしき足跡がありました。
今日は、バスターミナル屋上から外へ出てすぐの雪解け付近での雷鳥目撃情報が多く届いております。
近頃、バスターミナル屋上周辺やホテル立山周辺などで雷鳥を目撃出来るチャンスが広がってきています。