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立山自然保護センターブログ

嫌いな人はごめんなさい。

私的ですいませんが、我が家の周りは田んぼが多く夜になると

カエルの合唱が始まります。今の時期はカエルが産卵などで見え

やすいので、通勤途中に探してみました。

田んぼで鳴いているアマガエルです。一斉に鳴いて突然止まり、また一斉に

を繰り返しています。

一緒にいるのがキンモンガです。

トノサマガエルの姿も見えますが、富山県ではレットデータブックとやま2012では

準絶滅危惧に分類され地域によっては、「あまり見かけない」との声も聞かれます。

 

立山ふもと山麓で探してみると居ました。

モリアオガエルです。このカエルの産卵は変わっていて水の中ではなく

水辺の上に枝がある木などに卵を産み付けます。

木に卵塊を産み付け足でかき混ぜて泡状にします。真ん中の大きなカエルが

メスです。カエルの世界ではメスが大きいものが多いようです。

産卵に集まるカエルにも危険が沢山あります。

シマヘビがモリアオガエルを狙っています。少しでも動いたら襲われるので

まさに「ヘビに睨まれたカエル」です。このような危険の中で生まれたオタ

マジャクシも生存率は全体の10%以下と言われています。

 

立山の高山でもカエルはちゃんといます。

アズマヒキガエルです。別名「ガマガエル」と呼ばれています。このカエルは

カエルなのに、ジャンプも得意でなく、水かきが無いので泳ぎも苦手で、ノシノシ

と歩いていることが多いのですが、図鑑によっては日本一ハンサムなカエルとして

紹介されることもありました。

富山県では海岸から立山の室堂平周辺まで生息しています。

 

弥陀ヶ原では、卵塊とオタマジャクシ、運がよければ産卵が見られます。

弥陀ヶ原ホテルに近い木道際で卵塊が確認できますが、絶対に木道から外れない

様にして観察してください。

昨年、カエルがいるのならもしかして「アイツ」がいるかな?と探してみたところ

いました。

ヤマカカシという毒蛇です。カエルはアマガエルでも体に着いた雑菌などを

取るために弱い毒液を出しており、カエルを触った後に手を洗わずに目など

を触ると痛くなる事があるのですが、アズマヒキガエルは毒性は強いのですが

ヤマカカシはアズマヒキガエルをよく食べます。

日本にいる毒蛇は、カエルの持っている毒素をためて自分の毒にしている

事がわかっており、ヤマカカシはアズマヒキガエルを好んでいるようです。

室堂平では、ヤマカカシの目撃情報はないのですが?もし見つけたら

自然保護センターまでご連絡ください。

平地から高山までカエルでも、色んな生き物とつながって生きていることが

実感できました。

爬虫類がキライな人はごめんなさい。

 

ごめんなさいついでに、ヘビはよく舌をチョロチョロだしていますが、

口を開けているのでしょうが?

上の写真を見てもらうと、口に舌用のすきまがチャンとあります。

自然には無駄がありません。

 

 

立山の地獄

昨晩、山形県沖を中心とした地震が発生し被害に遭われた方々には

心よりお見舞い申し上げます。

立山地区にも弥陀ヶ原火山が存在し、気象庁も5月から24時間体制

で監視体制を始めており、我々も地震による火山活動の変動などにも

注視しております。

室堂平で、火山活動が見られる地獄谷は昔から字のごとく「地獄」に

たとえられ、平安時代の仏教説話集「今昔物語集」では「日本国の人、

罪を造りて多く此の立山の地獄に堕つと伝へり」との文章が残って

います。

館内展示 大仙坊本A

立山曼荼羅でも、地獄が大きく描かれており立山地獄のイメージが

強かったのが伺えます。

人が死んだ後は、天国か地獄に行くと言う話がおおいのですが、仏教の

世界では死後に「六道輪廻」

天の世界

人間の世界

阿修羅の世界(天界との闘いで苦しむ)

餓鬼の世界(飢えに苦しむ)

畜生の世界(動物となって苦しむ)

地獄の世界

この6つの世界に生まれ変わるとされ、インドなどの曼荼羅図ではよく

描かれますが、立山曼荼羅でも描かれています。

立山の地獄、地獄谷

高台から見るだけでもゴー!という水蒸気の噴き出す音が聞こえて

きて、まさに地獄の風景に見えます。

地獄を見下ろす高台が「エンマ台」と呼ばれる場所になります。

立山曼荼羅でも、左上に死者を裁く姿が描かれています。※立山博物館25周年

立山×地獄展資料では、かつて地獄谷に閻魔堂があった可能性もあるが現在は

不明

 

昔話では、死後に閻魔大王に裁きを受ける話が出てきますが、実際は十人の

大王に裁かれ、閻魔大王は5番目の王となります。裁きを受ける日も決まって

いて、最初は死んだ日、初七日と続き四七日、一周忌、三周忌まで続きます

お気付きでしょうか?これは、生きている人が故人を供養する日と一緒です。

裁かれる内容も2回目以降は、故人をキチンと供養していると罪が軽くなって

いくそうです。

 

まだまだ、立山宗教や閻魔さまの話はあるのですが、また次回があればお話し

したいと思います。文書ばかりで長くなりすいません。

話の内容については、立山信仰の歴史 富山県立山センター監修

立山X地獄企画展解説 立山博物館 発行

立山曼荼羅企画展  立山博物館 発行

を参考にさせて頂きました。

 

 

 

室堂平の今

梅雨入りしてここ数日は雨の日が多かったのですが、今日は

快晴となりました。

最近、室堂平の状況へのお問い合わせが多いので現在の状況を

お知らせします。

みくりが池をまわる遊歩道は、3/2ほど雪解けが進んでいます。

 

みくりが池も半分ぐらいまで雪解けが進み、雪イカダが見れています。

暖かい日には、水面との温度差で生きものの様に動く水蒸気が見えることが

あります。

 

みくりが池温泉ですが、7月上旬まで一時休館となっておられます。

予約やお問い合わせは受付されておられるので、営業再開などは

みくりが池温泉のHP等でご確認ください。

 

 

雄のライチョウも夏羽に変わり、周囲の季節変化に溶け込んでいます。

どこにいるかわかりますか?

歩道沿いでは、ハクサンイチゲが目につくようなってきました。

 

室堂平では、あまり目立たない樹木も変化しています。

 

ハイマツですが、写真のサボテンの様な部分は枝で、左右の短い枝が横に伸びて

中央の長い部分は上にのびます。来年の春にも同じサボテンの枝ができるので

去年伸びた横枝とこの部分の長さを見ると一年での成長がわかります。

 

ミヤマハンノキですが、写真は実ではなく花のつぼみです。この木の花は

変わっていて実のような部分が雄花で、上にある黄色っぽい部分が雌花で

その後ろに若葉が続きます。ハンノキの仲間は里山にも多く雄花から花粉が

飛ぶのでアレルギーがでる人もいるそうですが、室堂平でも花粉症は発生

するのでしょうが・・・

あまり目立たないのですが、よくみると面白い生きものが立山にも生きて

います。

 

天候が悪い日が多いですが、様々な形の雲海が見れるのもこの時期からです。

陸に空に、楽しみがありますので、ぜひ室堂平にお越しください。

 

最後にお願いですが、この時期はまだ朝方等に氷点下近くになり

石畳の歩道などが滑りやすくなりますので、充分な注意をお願い

します。※写真は今朝の7:00頃のものです。

 

 

 

 

 

 

今日は何の日?

今日は、国際連合が定めた「世界環境デー」となっており、環境省でも6月を環境月間としてし

ています。富山県でも環境保護の活動をいくつもが、立山地区は保護活動が盛んな地域です。

また、立山は環境変化がわかりやすい地域となっています。

アルペンルートがオープンしたての頃は白かった雪も今の時期は、黒ずんで

います。空気や雨の中の汚れなどが積りその中で、バクテリアや藻類などが

増えて黒さが増していきます。黒さが増すと太陽の熱を吸収しやすくなるので

雪解けの速さに影響がある事がわかっています。微生物の発生状況によっては

赤や緑の部分が発生することがあります。

ちなみに、黒い雪が服等に付くと、微生物などで汚れが落ちにくいので注意して

ください。

 

 

昔木道に使っていた汽車の枕木ですが、この木には「コールタール」と言うアスファルトの

一種が塗られており、長年の雪や雨にさらされ溶け出して環境へ影響が出たため現在は石畳

や新しい木道になっています。

室堂平で多い石畳で、歩きにくい言われることもありますが、よく石を見て

もらうと穴の様な窪みがあります。

室堂平の石畳で使われる石のほとんどが、長野県側の立山トンネルを掘った

時に、砕いた岩石をリサイクルしていて穴はドリルを使った後です。

最近では、弥陀ヶ原での階段補修に使われましたが、世紀の大事業で出たため

補修用の在庫はまだまだあるそうです。

 

立山自然保護センターでも、ほぼ毎日、遊歩道を周りゴミ拾いをしています。

立山地区で出たゴミは、山小屋も合わせて全て収集日に合わせて麓の処理場

にて処理されています。一般家庭と違うのは全て有料で処理され、頂上近くの

山小屋のゴミはヘリコプターで回収されます。

 

 

立山自然保護センターでは、タンポポなどの麓からの外来植物除去、ナチュラ

リスト自然解説などによる自然環境保護を今年も実施していきます。参加したい

興味がある方は、立山自然保護センターまでお問い合わせください。